「ヨーク将軍っ…!」


「おや、姫様。そんなに慌てて。」


「お待たせしてすみません!」


「いえいえ。昨日の今日ですからね。私のことは気になさらないでください。」




寛大で有り難いけど。


そんな言い方をされるとさ。




まるで昨日なんかあったみたいじゃん!?


何もなかったからね!?




「え…っと、とりあえず戦の展開について。私の意見を聞きたいとのことでしたよね?」


「そうです。城攻めの配置について、詳しく伺いたいんですが。」


「もちろんです。」



そうして、私はヨーク将軍から見ることになるだろう部分だけを抜粋して、私の描くシナリオを説明した。


ヨーク将軍は、ただ頷いて聞いてくれた。





「…なるほど。」


「セザール軍について、私はまだ分からないことが多いので開戦後の状況判断はお任せします。適宜対応いただいて結構です。」


「さすがは戦神と名高い姫様。その至高の策、しかと承りました。」


「…恐れ多いです。」




私は決してこの人を信用してはいない。


だからこそ上辺だけの策を伝えている。それが吉と出るか凶と出るかはまだ分からない。