お城の視察に行った時にね。
「アキト?」
「そうそう。でもアキトは結局一緒に寝たんだけどね。レンが嫌だったら別に私部屋に戻って寝ても大丈夫だし。」
「…へー。アキトが、ね。」
ここは遠く離れた地方じゃないし。
一部屋しか空きがない宿でもないし。
寝る場所なら存分にあるわけで。私は特段ここで寝たい理由もない。
というか、逆になんでわざわざここで寝なきゃいけないのかも甚だ疑問だ。
「じゃあ遠慮なく。」
「え?」
私が横になってる隣に、同じように転がったレン。
その時、私の忘れかけてた警報が鳴り響いた気がしました。
「……。」
「…私、やっぱり部屋戻る。」
本能で危険を感じた私は、すぐさま立ち上がろうと試みたが。
次の瞬間にはレンの腕の中に収められ、動けなくなった。
「れ…ん?」
「なに?」
「私、戻ります。」
「無理かな。」
何故無理なんだ!?!?
「とてもじゃないけど、今は君を離せる気がしない。」

