「…あの、ここは?」
「離宮でございます。レン王子が既にお待ちだと思いますので、どうぞごゆっくり。」
うふふ。
と笑ってメイドさんは去っていった。
え?ここで寝ろってこと?
私は状況を整理すべく、危うい記憶を辿る。
あー。なんかレンが言ってたかも。
離宮がどうとかって。これのことか。
思い出してスッキリした私はとりあえず離宮とやらに入ることにした。
「…姫、今日はお疲れ様。」
「おつかれー。」
中には言われた通り、レンが既にいて。
なんだか異様な雰囲気の部屋だから、変な感じはするけども。
「…?」
部屋には既に一組の布団の準備がある。
元々二人で泊まるって分かっていただろうに、準備した人間違えたのかな。
けどそんなことより、何よりもう疲れがピークの私は気にせずごろんと横になる。
「…だよね。そうなるよね。」
「えー?」
「ううん、なんでもない。姫はそこでゆっくり寝てて。」
「え、レンもおいでよ。」
私一人でお布団独占したりしませんよ。
「…うーん。」
「あ、もしかしてレンも一人で寝たい派?」
「一人で…というか。レンもって?」
「なんかアキトもそんなこと気にしてたなーと思って。」

