「ごめん。」


「…なんでレンが謝るの。」


「君が、俺のために怒ってくれたのは分かってる。けど…逆らって、歯向かって、良いことなんて何もないのを知ってる。」




アキトが前に話してくれた。


レンのお母さんのことが、頭を過った。





「だからって、私のせいでレンが傷付くのを黙って聞いてるなんて私には出来ない。」


「……。」


「私を守ろうなんて思わなくていい。あんなのに負けるほどやわじゃないし。死んでも殺されたりしない。」


「…アキトから何か聞いた?」




今はそんなことどうでもいいでしょう!?




「とにかく!私に関することで言われっぱなしなのは止めて!!」


「……。」










「そうじゃないと…私の方が苦しい。」




私のせいでレンが傷付くなんて。



今の私には耐え難く辛い。







「っ…!」



抱きしめるレンの腕が強くなる。







「分かった。気を付ける。」




レンは小さくそれだけ呟いて。


抱き締めていた腕を解いた。