私はそう切って。


今度は逆にレンの腕を掴み立たせ、この広間から連れ出した。




「ちょっ…姫!?」


「もうとりあえず早く着替えちゃお。ジャケットありがと。」



私はレンにジャケットを返し、まだ若干の苛立ちを抱えたまま控え室に向かって歩く。


そんな私の腕をレンが掴む。



必然的に、私の歩みも止まる。






「なんで言い返したりしたの?」


「……。」


「それで君になにかあったらどうするの?」




やっぱり。


私を想って、レンは何も言わなかったのか。




そもそも私がいなければ、あんな場所にレンはいる必要ないんだし。





「元は私のせいじゃん。私がいなければあんなこと言われないんだし。」


「君が悪いわけない。」


「だったら黙ってないでちゃんと言ってよ!!」




私はレンの手を振り解き、再び歩き出す。




あの場で、異常なほど祭り上げられる私と蔑まれるレン。


そんなのおかしい。


誰がどう見たって蔑まれるべきは私だ。







「姫。」


「なにっ…!?」




進み続け、歩みを止めない私を。



レンが後ろから抱き締めて、無理矢理止めた。