(一)この世界ごと愛したい




「素敵ですわ!姫様は愛されていらっしゃいますね!」



スーザン妻、今は黙ってくれ!?



「き、恐縮…です。」


「若さとは眩しいな!私もあと十年ばかり若ければ姫を娶りたかった!」



酒飲みすぎて本音出てるぞ、陛下。


そして頼むから王妃の前で嘘でもそんなこと言うな!?




「あなた、飲み過ぎです。そろそろお暇いたしましょう?」


「む…。確かに今宵は若き二人の夜だ。そろそろ引き上げよう。」




おお、有り難い!


私もこの空気から早く脱したいと思ってました!!!




「陛下、王妃様。本日は素敵な一日をありがとうございました。ごゆっくりお休みくださいませ。」


「ああ。姫、またゆっくり会おう。」



ゆっくり会うのは御免です。すみません。




こうして、お開きになった食事会。





のはずが。






「兄上。よもやレンに戦とは、面白い賭けを思い付くその頭脳さすがとしか言えません。」


「姫を手中に収めるためだ。これくらいわけはない。」


「姫は兄上にこそ相応しい。」


「無論だ。私以外姫を幸せにすることなど出来はしないよ。」




なんかまだ飲み続けてる奴等がいるけど。


これもう帰っていいんだよね???




「あらスーザン様。初夜にそんなことを言ってはレン王子が可哀想です!」


「いいんだよ。どうせただの落ちこぼれだ。姫をこんな奴に当てがうなんて父上はどうかしている。」




…落ちこぼれ?




私が反論しようと席を立とうとするが、レンが私の手を掴み首を横に振る。


相手にするなと言っているようだった。