(一)この世界ごと愛したい




そんな私たちを見て、ここまで押し黙っていた王妃が口を開いた。



「まあ、仲がよろしいようで。」



この王妃。


セザール国に入って間もない時と、そして婚儀の時と、何度か挨拶程度の言葉を交わした。



私はあまり良い印象がない。



どこか私を…というかレンを見下しているような、そんな印象がある。




「戦を知らない王子と、戦神の姫。仲が良くて何よりですわ?」



…何が言いたいのかさっぱりわからん。




「王妃様もご健在で何よりです。」


「あなたに心配される覚えはありません。」




レンは突っぱねられてしまう。


この王妃の扱い難しすぎる。



話を変えた方が得策かと判断した私は、陛下へ声を掛ける。



「陛下、本日の宴に家族をお招きいただきありがとうございます。」


「姫が連れ去られることがないよう手は回した。そなたが私の元を離れんなら構わん。」



衛兵の多さで気付いていましたとも。


逃してなるものかという陛下の圧がすごかったですよ。





そんな話をしているうちに、スーザン夫妻が到着し本日最後の食事会が催された。