顔を赤らめてそう言ってくれたレン。
…見苦しくはないっぽくてよかったです。
「ここを乗り越えれば終わるんだし!よし!頑張るぞー!」
「君は頑張らなくていいから。」
そう言いながら、会場である広間に到着しました。
この広間には良い思い出は一つもない。
けど、どうか今日だけは何事もなく無事に終わりますように!!!
そう祈りながら、相変わらず荘厳な扉を開けて中に入りました。
「…おお、姫。そなたは何を着ても美しいな。」
「陛下、ごきげんよう。皆様、お待たせして申し訳ございません。」
「気にするな。まだ時間も少し早い。」
間に合ってたんだ!よかったー!
セザール王と、その隣に座る王妃。
そしてエリク。
けどスーザン夫婦はまだのようで、ビリではなくてとりあえず安心しました。
「……。」
「……。」
何も言っては来ないけど、流石に気付く。
エリクの阿呆が、私を舐め回すようにジーッと見つめている。
目を合わせちゃだめだ。口も聞いちゃだめだ。
あまりの気持ち悪さに身震いする私。
「…はぁ。」
一息吐いたレンもエリクの様子に気付いたようで。
そっと私の背後に回り、自分のジャケットを私に掛けてくれた。
「ありがとう、ございます。」
「まだ寒いからね。」
そう言って、二人で苦笑いした。

