(一)この世界ごと愛したい





本日二回目のお色直しタイム。


純白の和装、そして緋色のドレスの後はまたもや洋装のドレスなんだけど。




「ちょ…これ、寒すぎません?」


「艶やかで素敵ですよ姫様!」



艶やかさいらないです!背中開きすぎて既に寒いよ!!!


この後なんて王とか王子たちとか身内での食事会でしょ!?



こんなの着て行く意味がわからん!!!





「レン王子、もう入って大丈夫ですよ!」


「え?ちょっと待ってっ…!」



またもや待機してくれているレンに、声を掛けるメイドさんを思わず止める。


けど、時既に遅く。








「え…っと。」


「……。」


「…なんか…お見苦しくてすみません。」



漆黒のロングドレス。


上半身の露出が高めなのがネックです。




「…君が選んだの?」


「それが、試着の時の記憶がないんです。」




忙しかったし、色んな話聞きながらだったからさ。


こんなことになると思わなかったの!!!






レンは二着目同様、深い溜め息を吐いた。




「さあ、お二人とも!行ってらっしゃいませ!」



メイドさんにさあさあと追い出され、渋々会場へ向かう私たち。




「うー。レンごめんよ。」


「いや、謝ることじゃ…ないけど。」


「…けど?」


「…すごく、綺麗…です。」