そうして、アキトに背中を押されレンは剣を取る。
二人の稽古はしばらく続き、終わった時にはレンはもう息を切らして横たわる。
「相変わらず体力ねえなあ?」
「はぁ…日頃から、動くこと…ないから、ね。」
「けど、お前がまた剣振ってるだけ一歩前進だなあ。俺はまだ信じられねえ。」
「…乗り気には、なれないけど。」
レンは持っていた剣を手から離す。
「それでも、姫が…いるから…。少ない体力分だけ…頑張ろうかな。」
息も絶え絶えに呟くレンを、アキトはふっと笑い飛ばす。
「足りねえ分は俺がやる!だから死ぬまで諦めんなよ!!」
「…うん。」
私の知らない、二人の絆が垣間見えた。
「ねえ、アキト。」
「んあ?」
「…もし、アキトも姫が好きなら、俺にも遠慮はしないでね。」
「はあ?だから俺は泥沼争奪戦は趣味じゃねえんだって!」
「姫に惹かれるのは…絶対らしいよ。だから、もし…アキトが本気になった時は…って話。」
アキトはあのニヒルな笑みをレンに向ける。
「俺が相手だと勝ち目なくなるぞ?」
「今もそんな感じだよ。」
二人は同時にるうを思い浮かべる。
「確かに強えし、背中合わせで戦える相棒って感じだけど。リンがあんな感じだしなあ?」
「ルイも俺に遠慮するなって言ってた。」
「ほーう。余裕しかねえってことか!?甘く見られてんな!?」
「…違うんじゃないかな。」
レンは、るうの気持ちをそうじゃないと取る。
本当のところはるうしか知り得ないけど、レンはどこかで思っていた。
『結局俺は、リンが幸せならそれでいい。』
あの日の言葉は、きっとるうの心からの願いだと。
「ルイは誰よりも姫を想っているからこそ。姫が幸せになることは、誰よりも嬉しいんだと思うよ。」

