(一)この世界ごと愛したい





そうして、アキトに背中を押されレンは剣を取る。



二人の稽古はしばらく続き、終わった時にはレンはもう息を切らして横たわる。




「相変わらず体力ねえなあ?」


「はぁ…日頃から、動くこと…ないから、ね。」


「けど、お前がまた剣振ってるだけ一歩前進だなあ。俺はまだ信じられねえ。」


「…乗り気には、なれないけど。」




レンは持っていた剣を手から離す。








「それでも、姫が…いるから…。少ない体力分だけ…頑張ろうかな。」



息も絶え絶えに呟くレンを、アキトはふっと笑い飛ばす。




「足りねえ分は俺がやる!だから死ぬまで諦めんなよ!!」


「…うん。」




私の知らない、二人の絆が垣間見えた。







「ねえ、アキト。」


「んあ?」





「…もし、アキトも姫が好きなら、俺にも遠慮はしないでね。」


「はあ?だから俺は泥沼争奪戦は趣味じゃねえんだって!」


「姫に惹かれるのは…絶対らしいよ。だから、もし…アキトが本気になった時は…って話。」




アキトはあのニヒルな笑みをレンに向ける。





「俺が相手だと勝ち目なくなるぞ?」



「今もそんな感じだよ。」




二人は同時にるうを思い浮かべる。





「確かに強えし、背中合わせで戦える相棒って感じだけど。リンがあんな感じだしなあ?」


「ルイも俺に遠慮するなって言ってた。」


「ほーう。余裕しかねえってことか!?甘く見られてんな!?」


「…違うんじゃないかな。」




レンは、るうの気持ちをそうじゃないと取る。



本当のところはるうしか知り得ないけど、レンはどこかで思っていた。









『結局俺は、リンが幸せならそれでいい。』



あの日の言葉は、きっとるうの心からの願いだと。







「ルイは誰よりも姫を想っているからこそ。姫が幸せになることは、誰よりも嬉しいんだと思うよ。」