「あ、そうだ。リンの兄貴の話なんだけど。」
「さっき病状は少し聞いた。」
「…お前覚えてねえか?」
この話は、後々私も知る話になる。
「王室で研究された毒薬。」
「ああ、それなら覚えてる。麻薬を使った研究なんて碌なことじゃないなって思った記憶がある。」
「…たぶんエリクが使った薬はそれだ。」
「っ!?」
「二年前の戦、実は鬼人の研究を兼ねて部下連れてこっそり見学してたんだけど。エリクは毒矢で鬼人を撃った。」
「ちょっと待って。もしそうだとしたら…。」
「ああ。鬼人…リンの兄貴は、目を覚まさねえ。」
この事実を知って、レンは考える。
「俺の父親はリンの父親を殺して、俺の兄はリンのお兄さんに呪いをかけた…か。」
「お前が悪いなんてリンは思ってねえよ。じゃなきゃこんなに必死になってお前を守ろうとするわけねえだろ。」
「そうだとしても、それが現実で事実だ。」
残酷な運命に、レンは心を痛める。
「だから、兄貴の方はお前がなんとかしてやれ。戦が終わったら俺はリンに話すって伝えてる。」
「…なんとかって。」
簡単に言ってくれるなと、レンはアキトに言って。
また悩んでいる。
そんなレンに、アキトは部屋にある剣を渡す。
「兎にも角にもまずは戦だ。俺が徹底的に鍛えてやる。」
「…俺、もうさっきので疲れたよ。」
「甘えたこと言うな!俺が本陣にいるとは言え、いざという時は自分の身くらい守れ!?」

