(一)この世界ごと愛したい




「…お前苦労するなあ。」


「それが姫のいいとこだよ。」


「完全に溺愛だなあ?」


「アキトはどうなの?」



私とるうが本部を後にして。


レンとアキトが話している会話を、私が知ることはない。




「俺はごめんだ。」


「…そんな風に見えないけど。」


「俺はドロドロした争奪戦には参加したくねえ。というか巻き込まれたくもねえ。」


「確かに。」



レンがぼんやり天を仰ぐ。





「本来ならこんな面倒事、俺だってごめんだよ。」


「…それでも欲しいと思ったんだろ。」











「…そうだね。」



アキトは肯定したレンを見て、少し切なそうに笑った。




「敵は手強いぞ?」


「…俺も正直勝てる気がしない。」


「でも結婚は決まってるし…って。そういう問題じゃねえか。」


「そうそう。姫にとってこの結婚はただの義務。なんの感情もないからね。」