エリクは足を止め、ゆっくり振り返り私を見る。
「どういう意味かな?」
「陛下が私を外へ出すことも、私が城を見に行くことも、想定外だったのではないかと思っただけです。」
「ふふ、確かにそうだね。」
「あなたはあの城を、私に見られたくなかったのではありませんか?」
すると、エリクは声高々笑い。
またあの不気味な笑みを浮かべた顔で、私に言葉を投げ掛ける。
「結論、問題はない。姫を手に入れるためには、多少の犠牲はやむを得ないよ。」
あの城の完成度の高さ。
守りの硬さ。
そして、立ち込める罠の匂い。
エリクはディオンと内通しているんだろう。
つまり、セザールの王子であるエリクが敵国ディオンと手を結んでいる。
もちろん、王も知らない水面下で。
それが多少の犠牲か、多大な被害となるかは私次第。
「では姫よ、武運を祈る。」
そう言ってエリクは去って行った。

