今、おそらく私は思考を探られている。
あの城を見て何を思ったか。
どう戦を展開しようとしているか。
「…正直、城は見事でした。まだ攻め方を決めあぐねるほどです。」
「そうか。姫に落とせぬ城もあるものなのか。」
「落とせないとは言っておりません。」
私はエリクへはっきり伝える。
落とせないことはない。
問題は落とし方だ。
「流石ですね。どう攻略するのか、その至高の考えを伺いたいものだ。」
「まだ思案中でございます。開戦まで楽しみにしていてください。」
「姫は手厳しいな。」
そう言ってエリクは私の手を取り、その手に自分の唇を押し当てる。
…うげー。
「姫の描く戦が、今から楽しみだよ。」
私はすぐにパッと手を収める。
するとエリクは用が済んだのか踵を返す。
その去り行く背中に、私は一つの仕掛けを施す。
ここからは私も反撃に転じたいところ。大いに揺さぶりをかけたいと思っている。
「エリク様、あなたは一つ。
…大きく道を、踏み外したのでは?」

