とりあえず、アキトとレンは一旦置いといて。
エリクを先に追っ払おう。
「ごきげんよう、エリク様。」
「戦の準備は順調かい?」
「ええ、お陰様で。」
私は少し含みを持たせて返事をする。
「ディオンへ視察に行かれたとか?」
「はい。」
「まさかアキト将軍まで手懐けるとは。さすが我が姫だ。人を魅了する才能に長けている。」
アキトを魅了したつもりはないです。
それに別に意外でもないと思うけどな。レンの友達なら戦に加勢したって不思議じゃない。
「しかし、いただけません。」
「なにか?」
「視察ならアキト将軍ではなく私に声をかけてくれればどこへでもお連れしたのに。」
そう言われたアキトが黙っているわけもなく。
「あんたに声が掛からねえのは日頃の行いのせいだろうが。」
「はぁ…。あなたは相変わらず礼儀と言うものを知らない人ですね。」
この国では珍しく、エリクがアキトの非礼を容認している…?
ということは、恐らくアキト軍はセザールにとってそれほど大きい存在ということか。
「それで、姫。視察はいかがでしたか?」
これが今日の本題なんだろう。

