(一)この世界ごと愛したい




「それじゃあ。」



と言い残してレンは足早に私の部屋を出て行ったんだが。


もう一人、角が生えたままのるうさんが私を睨む。





「で?」


「……。」


「何されたって?」


「……。」




言えないよー!


るうお願いだから聞かないでー!!!




「私は大丈夫!」


「俺が大丈夫じゃねえ。」


「五体満足!無傷です!」




そう伝えても、るうはジリジリと私との距離を詰める。


椅子に座る私の真横に立ったるうは、そのまま私の頭を掴んで再度問い掛ける。






「で?」


「…ちょっとだけ?手が…。」


「手が?」


「〜〜っやっぱり無理!!!」




私は赤面を隠すべく、手で顔を押さえるが。


るうは私の手を掴み取る。





「…んな顔するからだろ。」




るうは私の手をそのまま引っ張り、立ち上がらせて。そしてそのまま再び抱き締める。



…ハグ率高くない???





「その“手が”どうしたって?」


「いや…別に。ちょっと当たっただけ…?」


「どこに?」


「し、仕方なかったの。アキト寝惚けてたし。悪気はなかったと…思う。」