(一)この世界ごと愛したい




基盤に散らばったままの駒たち。


これは戦のシュミレーションのために私がよく使う物で、それを見ていると自然に戦脳になってしまう。




「ほらよ。」


「ありがとー。」



コーヒーを片手にその駒を触り始める私。


幾多もの戦況を一人で勝手に想像して、駒を動かしてみるけど。



やはり上手く攻略出来なくて。





「……。」


「誰か来た。」


「……。」


「リン!誰か来たからとりあえず着替えとけ!」




どうやら部屋のドアがノックされたようで、基盤に夢中で気付かない私をるうが脱衣所に追いやった。



…あー。もう少しやりたかった。




渋々言われた通り着替えて、身支度を済ませて部屋を出る。





「…レン?」


「おかえり、姫。」


「ただいまー。」




訪問者はレンだった。


もう清々しいくらい一人で出歩いてるね!?