猛スピードを意識したおかげで、すっかりへとへとになってる私とアキトとお馬さん。
朝から走ってきたにも関わらず、セザール王宮の入口の門に到着する頃には、もう真っ暗。深夜です。
そんな門には、もちろん夜中でも門番がいる。
しかし門番とは明らかに違う、門の壁に寄り掛かる一つの人影。
「…ただいま、るう。」
「ああ。おかえり、リン。」
一体いつからここで待っていたんだろう。
馬から降りようとした私を、ヒョイっと抱き上げ降ろしてくれたるうの手が冷たくて驚いた。
「…こんな遅くまで、待ってたの?」
「無事でよかった。」
「無事に決まってるし、るうの方が無事じゃないでしょ!?」
門番の人に聞こえないよう小さく怒る。
そこへアキトも馬から降りて、こちらへ歩いてくる。