「一晩泊めていただき本当にありがとうございました。この御恩、必ずお返ししますね。」
「いやいや!これは礼儀正しいお嬢さんだなあ!アキトさん大事にしねえと!」
「…ああ。大事にするよ。」
いや、彼女じゃないけどね!?
まずそこ否定しろ!?
「さて、行くかー。」
「うん。」
私とアキトは、馬小屋に預けていた馬を引き、この港町を離れる。
最後に一目見えた海は、尚もレンの瞳の輝きの如くキラキラしていて眩しかった。
「女たらしー。」
「俺はたらさねえ。向こうが勝手に盛り上がってるだけで。」
「へー。」
まあ、いいんですけど。
「行きで進軍の道は覚えたから、帰り最短ルートで案内よろしくねー。」
「…あーはいはい。」
もう信じられないくらいのスピードで、馬を走らせる私とアキト。

