(一)この世界ごと愛したい





とある戦で重傷を負ったハルは、もう二年眠りについたまま。



この地下室に、二年だ。



定期的に主治医が来て、必要な処置を施す。


でも、決して目を覚さない。






ハルはとても強かった。



今の私でも、きっと手も足も出ないほど。





ハルは優しかった。



いつだって私を大事に想ってくれていた。





そんなハルだから、無茶な戦い方をする私を庇って眠ってしまった。





「私は何も成長出来てないね。」



結局また、大切な人を傷付けてしまう。



パパを、失ってしまった。




「…ごめんね。」



気付けば涙が止まらない。


ハルの前では、自分の意思など関係なく溢れるだけ溢れる。止め方も分からない。





…本当は苦しいの。



ずっと、怖くて怖くて堪らなかった。






私は弱い。



私は戦神なんかじゃない。






「しばらくハルに会えなくなっちゃうけど、絶対帰って来るからね。」



やるべき事を成し遂げて、必ずここへ。







「でも…っ。」



ハルに言葉を投げかけている途中、ふわっと抱き締められて身体が温もりに包まれた。






「お前がそんなに強くねえことくらい知ってる。」


「…る、う。」



何でもお見通しなるうが、たまに憎い。



元々るうはハルの従者として城にいたけど、ハルが眠ってからは自然と私の従者へシフトした。



生まれた年数分の付き合いだ。




るうは厳しいところもあるけど、実は私を良く見てくれていて、気に掛けてくれている。