「リン。朝だ、起きろ。」
「…んー。」
そして私は朝が大の苦手です。
眠たくて眠たくて仕方ない。
戦場だとちゃんと起きるんだけど。寧ろ寝ないんだけど。家である城だと中々起きられない。
そんな私を起こそうとしているのは、今私の護衛、兼付人、兼執事、所謂従者。主に身の回りのお世話をしてくれる幼馴染。
【ルイ・ベランジェ】
私は昔から勝手に“るう”と呼んでいる。
「…早く起きろ。」
「……。」
起きる気配のない私を、呆れた顔で見下ろするうは、慣れた手捌きで私の身支度の準備を済ませていく。
私の兄と同じ歳で、私にとってはとても面倒見のいいもう一人の兄的存在だ。
今となっては、るうに頼りっきりで自分のことさえまともに何もできなくなってしまった。

