(一)この世界ごと愛したい





周囲への警戒もあり、あまり深く眠っていない私は日の出とほぼ同時に目を開ける。


目の前には普段から考えられないくらい静かに眠っているアキト。





「…はるー…。」



私はハルの名前を呟きアキトに擦り寄る。






「…あ?誰のことだ?」



どうやら、眠りを浅くしていたのはアキトも同じだったようで。






「私の…」




家族で。


兄で。



この世で最も大切な人で。





「…一番、認めてもらいたい人。」


「はあ?」



アキトは意味が分からんと言い捨て。


最早墨と化した私が斬り倒した木を見る。





「燃え広がる心配はねえな。そろそろ行くぞ。」


「うん。」



私も立ち上がり体を少し伸ばす。




「それで?」


「うん?」



二人で再び走り出して、少ししたらアキトが私に主語も何もない質問を投げ掛ける。





「ハルって誰だよ。」


「私のお兄様です。」


「兄……ああ!?」


「え、何っ!?」



それはそれは目をまん丸にして、アキトは驚きのあまり馬を止めた。