(一)この世界ごと愛したい






「この戦において、全軍を指揮する私が行かねば勝機は薄れます。」


「ならば勝利せずとも良い。姫さえ私の元に戻れば、それで構わん。」



…じゃあ、この戦はなんの茶番だ。



まるで私以外の兵が全滅してもいいとさえ聞こえる。


胸糞が悪い。








「私は…元はアレンデールの姫ですが。

敵国同士で剣を交えた私に、命を預けてくれる兵がいます。そして此度その万を超える兵達全ての命を預かることと自負しております。

その私が、勝利に胡座をかいて何もせずにただ兵を犠牲にすることなどあってはなりません。


私は神に誓って逃げません。必ず陛下の元へ帰って参ります。ですからどうか、慈悲深いご再考を願います。」



セザール王を納得させるために、それっぽく言おうとは思っていたけど。


紛れもない本心が口から溢れる。







「姫よ、何度も言わせるな。逃げない保証がない以上、そなたを外へは出さん。」



しかし、元より人の心など持ち合わせていないセザール王には私の言葉は届かない。