(一)この世界ごと愛したい





中々前に進まぬ話し合いに、痺れを切らしたセザール王は新たな惨虐性を露わにする。





「埒が明かぬな。おい、とりあえず王子を殺せ。」



「なっ!?」


「ふざけるな…!王子は殺させん!!!」



王妃はまたもや究極の選択を迫られる。








娘か、息子か…選べと。






「お待ちください!私にはっ…!」


「では早く決めろ。娘を差し出すか、王子を殺すか。」


「私、は…っ…。」



幼い王子は王妃の手を握り、真っ直ぐな目で王妃を見つめる。







「…僕は、お姉ちゃんを守りたい。」


「っ!!!」



幼いながらに、何と立派なことか。



一人立ち上がった王子の姿を見て、王妃は意を決した。




それは、己の身を切られるよりも、辛く苦しみを伴う決断である。







「もう、争いをお止めください。」


「腹は決まったか。」


「ええ。アレンデール王妃の名にかけて、お約束いたします。」




…計り知れない痛みを胸に。












「…娘を、送り出しましょう。」