中々前に進まぬ話し合いに、痺れを切らすセザール王は新たな惨虐性を露わにする。




「埒が明かぬな。おい、とりあえず王子を殺せ。」


「なっ!?」


「ふざけるな…!王子は殺させん!!!」



王妃はまたもや究極の選択を迫られる。








娘か、息子か、選べと…。





「お待ちください!私にはっ…!」


「では早く決めろ。娘を差し出すか、王子を死なせるか。」


「私、は…っ…。」




幼い王子は王妃の手を握り、真っ直ぐな目で王妃を見つめる。







「…僕が、お姉ちゃんを守る番。」


「っ!!!」




幼いながらに、なんと立派なことか。



一人立ち上がった王子の姿を見て、王妃は意を決した。




それは、己の身を切られるよりも、辛く苦しみを伴う決断である。






「もう、争いをお止めください。」


「腹は決まったか。」


「ええ。アレンデール王妃の名にかけて、お約束いたします。」





計り知れない痛みを胸に。









「娘を、手放します。」