「兄上。」
この状況を愉しむエリクに、レンが声を掛ける。
「何だ。今更怖気付いて開戦前から逃げ出すなんて興を冷ましてくれるなよ。」
「いえ、逃げはしません。ただ、今はまだ姫は私の婚約者なので。
…近付かないでいただけますか?」
エリクの笑みが、恐らく今日初めて消えた。
「…貴様は身の程を分かっているのか?」
「兄上こそ、何度も言わねば分かりませんか?」
レンが珍しくエリクに反論する。
この兄弟喧嘩に割って入ることも出来ず、私とるうはただ見守るだけ。
「これ以上、姫を傷付けないでください。」
私はいつだって、誰かに守られている。
だから私は、それに応えたいと思う。

