「父上、お願いします。これでレンが勝利するほどの器であるならば私は潔く身を引きます。ですが今のままでは到底納得できません。」
さらに、セザール王へ頼み込むエリク。
「…確かに一興だ。レン、お前はどうなんだ。」
全員が一斉にレンを見る。
私は自分の足元を見つめ、断ってくれと祈る他ない。
けど、本当は分かってる。
『俺は自分の命より、既に君のことが大事だよ。』
あの時のレンが、心からそう思ってくれているなら私の祈りなど届かない。
「…分かりました。」
そう呟くレンの声が、胸に刺さる。
「ほう。ならば決まりだ。」
セザール王は、エリクの要求を『可』として受け入れた。
エリクの笑みはもう私には不気味にしか見えない。
自分の掌の上で、駒が踊り狂っているように見えているんだろう。

