王が倒れたのを見て、セザール王はすかさず王妃へと足を向ける。




「王は死んだ。交渉の続きはお前に頼もう。」


「あ…、なた……。」


「姫はセザールが貰い受けるぞ。」


「…いいえ。王が最後まで守った娘を、私が諦めることなどあってはなりません…!」




王妃は凛としてセザール王へ進言した。



その目は悲しみと怒りに満ちていたが、彼女の力強い目を見て、セザール王は一言だけ言葉を落とした。






「…国民全員、殺せ。」




ここから虐殺が開始された。




「っ!?」


「交渉が成立するまで、蹂躙し続けるしかあるまい。」


「お止めください!王は息絶え、アレンデールは降伏いたします!」


「降伏などに興味はない。私はこの国の姫を所望しているのだ。」





話し合いも叶わず、刻々と時間が過ぎながら、多くの命が奪われていく。




「王妃様、正しいご判断です!姫様を売って尚、生きながらえた命に何の価値もありません!!!」


「そうです!王の意思を、無碍にしてはいけません!!!」




悲痛な悲鳴が木霊する。


尋常な精神でいられるわけがない。



愛する国の、愛する民たちの叫びを、心を痛めずに聞いていられるわけがない。