(一)この世界ごと愛したい






鬼も顔負けの般若と化した王を、即座に近衛兵が斬る。





「渡さん…ッ…!己の命を落とそうが…娘だけは、絶対に…あの力は…!!!」



急所を狙われ傷付いた王は、それでも娘は渡さないとセザール王へ叫ぶ。



その叫びは、悲痛そのもの。






「お前がどう喚こうと貰い受けることになる。国と娘、天秤に掛けてより重いのはどちらだろうな。」


「きっ、さま…!!!」



怒りを原動力に尚剣を振り上げる王を、更に斬り付ける慈悲のない近衛兵。




そこで息絶えた王の無念は、如何程だっただろう。


そしてその場にいた王妃と王子の痛みと悲しみは、如何程だっただろう。