鬼神と化した王を、即座に近衛兵が斬った。





「ふ、ざけるな!私の娘だ!この国の…宝であり希望なのだ…っ!!!」




急所を狙われ傷付いた王は、それでも娘は渡さないとセザール王へ叫ぶ。



その叫びは、悲痛そのものだった。






「お前がどう喚こうと貰い受けることになる。国と娘、天秤にかけてより重いのは…どちらだろうな。」


「きっ、さま…!!!」




怒りを原動力に身体を動かした王を、さらに斬りつけた慈悲のない近衛兵。




そこで、息絶えた王の無念はいかほどだっただろう。


そしてその場にいた、王妃と王子の痛みと悲しみは、いかほどだっただろう。