(一)この世界ごと愛したい





「…よかった。」



レンはそう呟いて、私の隣に横になった。





「なにがよかったの?」


「君が笑ってくれたから。」




…どうやらよっぽど心配させてしまっていたらしい。





「るうには言わないでね。」


「…うん。」




泣いてたこと、元気がなかったことを、言わないでほしいと頼んだ。



人一倍責任感が強いるうだから。





「あと、私はレンとエリクの関係性あんまり詳しくないけど。エリクはレンをどうしても陥れたいように思うの。」


「…そんな気はしてる。」


「だから今回のエリクのお願いって、たぶん私よりレンが狙いなんだと思ってる。」


「……。」




エリクの考えは知りようもないけど。





「私のせいでもあるから、出来る限りレンの迷惑にならないようにしたいんだけど。」


「いや、ルイの命を優先して。父も兄も、人を人とも思ってないから従者一人殺すくらい躊躇わない。」


「…そう言ってもらえると正直有り難い。私はるうを人質に取られると、どうしようもなくなるから気を付けてって…国を出た時に本人にも伝えてたんだけど。」




結局こうなっちゃったし。


ただ今回は相手が悪かったのは否めないな。エリクは私たちが触れてほしくないところを的確に突いてきた。




安い挑発だったけど、それを理解した上でも。


私とるうにとって、ハルは特別だから。