(一)この世界ごと愛したい





意味不明で無謀なお願いをした挙句、泣き顔まで晒してしまった。



私は、その場にごろんと転がる。




「…あー…。」




当初の予定と全然違うなー。



サクッと嫁いで、サクッと王の首を刎ねて、サクッとアレンデールに帰るつもりだった。




蓋を開けてみれば。結婚相手はちょっと抜けてて放って置けないレンで、王には中々近付けないし、逆に王子の陰謀に嵌められて。



アレンデールにすぐに帰りたいのに、ハルの治療も夢見ている。





「私は我が儘だなー…。」





それでも、叶えられるだけ叶えたい。





「そうだね。」



「うん?」






「そんな君だから、俺は力になりたい。」




微力だけどね、と笑うレン。



捨て置けないこの気持ちが、厄介だ。






「レンって変人だよね。」


「…君に言われると傷付くな。」




やっぱり他の人にも言われるんだ。


と思わず笑ってしまう。