(一)この世界ごと愛したい






私はきっと、まだ泣いている。



だって、目の前のレンがとても悲しそうにしているから。





「…分からない。」



「……。」





当たり前だろう。



病状も症状も何も分からないのに、治せるかなんて馬鹿な質問だ。







「それでも俺は、君の力にならなりたいと思うよ。」




この人の優しさは、やっぱり海みたいに深い。



その紺碧の瞳を見るだけで、私も不思議と心が落ち着いていくのが分かった。






「…ありがとう。」



「それで君の涙が止まるなら、お安い御用だよ。」






…恥ずかしくなってきた。