少し驚いた。
そんなことには無縁そうなレンなのに、それほど私の殺気がダダ漏れだったのか。
「…もう大丈夫だよ。」
「ルイは大丈夫?」
「うん。るうは私より何倍も強いから。」
弱いのは…。
いつまでもハルに縋って、悲しみの中に取り残されているのは…私だ。
エリクからハルの話を聞いただけ。
エリクは嘘なんて言ってない。事実だったんだけど。
自分でもまだ、折り合いを付けきれないあの戦の話で、自分の不甲斐なさを再認識させられたように思えて。
だって、ハルを思うだけで。
私の心はまだこんなにも痛いから。
「…君は、一人にしてほしいって思ってるんだろうけど。」
「え?」
レンが私の顔に手を伸ばす。
「君の涙を拭うくらいは、許してくれるかな。」
自分が泣いてることにも、私は気付いてなかった。

