殺気が垂れ流しなのはわかってる。
だけど、それさえも風に乗って消えていってほしかった。
けど私の願いとは裏腹に、この殺気で人を呼び寄せてしまったようだ。
「……。」
背後の気配は一つ。
相手から殺気は感じない。
「……。」
「…レン?」
微かに香る、レンの部屋の香り。
「…うん。」
「どうしたの?」
私は殺気を仕舞い込む。
「…少し外の空気を吸おうと思っただけだよ。」
「そっか。」
るうは兵士がサボるためにここを見つけたと言っていたが、やめた方がいいと教えてあげたい。
私が知る限り、ここ王子二人も来るよ。
「…って言うのは嘘。本当は、悲しい殺気が気になって様子を見に来たけど。それが君だった。」

