(一)この世界ごと愛したい






殺気が垂れ流しなのはわかってる。



だけど、それさえも風に乗って消えていってほしかった。





けど私の願いとは裏腹に、この殺気で人を呼び寄せてしまったようだ。






「……。」




背後の気配は一つ。



相手から殺気は感じない。





「……。」



「…レン?」




微かに香る、レンの部屋の香り。




「…うん。」



「どうしたの?」




私は殺気を仕舞い込む。




「…少し外の空気を吸おうと思っただけだよ。」



「そっか。」




るうは兵士がサボるためにここを見つけたと言っていたが、やめた方がいいと教えてあげたい。


私が知る限り、ここ王子二人も来るよ。







「…って言うのは嘘。本当は、悲しい殺気が気になって様子を見に来たけど。それが君だった。」