刹那。
私が動いたのとほぼ同時。
るうが私の横を光の如く駆け抜けた。
その手には既に剣が握られていて、私は憎悪の淵から現実へ引き戻される。
ハッとして、まず目に入ったのはエリクに剣を振り上げるるうと、それを不敵に笑って受けようとするエリク。
…嵌められた。
と、気付いた時にはもう遅い。
もう後に引けないことは分かっていたが、それでも私は止めねばならない。
私は持てるスピード全てを駆使。
るうとエリクの間に入り、ギリギリでるうの剣を受けた。
「退けリン、こいつだけは許さねえ。」
我を忘れたるうを一度鎮めねば。
「誰に剣を向けているか、理解ができるか?」
「ああ!?」
「本来なら死刑も安い。だが、騎士殿は裁かれることはない。」
るうは悪くない。
気付けなかった、私の落ち度だ。

