(一)この世界ごと愛したい






本当に綺麗で、不覚にも見入ってしまう。




「…姫、聞いてる?」


「うん。でも私やっぱりレンの瞳好きだなって思って。吸い込まれそうなくらい綺麗だよ?」








レンは溜め息を一つ、吐く。







その顔は私に徐々に近付いてきて。




レンの唇が私の唇に、触れる。








…え?





なんだかスローモーションのように、見えていたのに。




私は、避けられなかった。






色々驚いている間に、唇同士は離れてレンはそのまま私を抱きしめる。







「…吸い込まれてよ。」





まるで懇願するように、レンが耳元で囁いた。