(一)この世界ごと愛したい






「…君は、少し学ぶべきかな。」


「ん?香のこと?…わあっ!?」



急に足が床から離れ、レンに持ち上げられてることを頭が理解した時。


レンは寝室である奥の部屋まで私を運び入れ、ベッドに私を降ろした。




…この部屋は一段とレンの匂いで溢れてる。





「レン?」


「君には危機感がないの?」


「…?」




危機感?


私あんまり自分より強い人に出くわさないしな。





「二人っきりの部屋で、無闇に男に近づかない方がいいよ。」


「うん、わかった。」


「…どうしてダメかわかる?」


「さあ?…でも嫌な人もいるよね。ごめん。」




すごく落ち着くいい香りだから、詳しく聞きたかっただけなんだけどなー。




「俺は嫌じゃないけど。」


「うん?」





レンは、そっと私をベッドに倒し倒す。









「嫌じゃないけど、こういう危険があることを君は知った方がいい。」


「れ…ん?」




下から見るレンも、やっぱり綺麗で。


そして、紺碧の瞳の真剣な眼差しに、思わず吸い込まれそうになる。