「あなたは何も悪くないわ。」
「っ…。」
アルを抱き直し、私をそっと抱きしめてくれた。
「私こそ、無力な母で…ごめんね。」
「そんなことない!ママはなんにも悪くない!」
「いいえ。違うの。私は…っ…。」
息を詰まらせ、涙するママ。
何を、そんなに思い詰めているの…?
何かがあったことは、一目瞭然だった。
「ママ…?」
「…この国は負けたの。そしてあの人は殺されてしまった。」
目に涙をたくさん溜めて、ママは私に何が起こったのかをゆっくり話してくれた。
それは、あまりにも非道で狡猾な、セザール王という人物を語るに足る真実だった。

