(一)この世界ごと愛したい





ガツン。


鈍器で殴られたような衝撃が頭に走る。




生存者がいて喜んだ、そのすぐ後に私の感情が黒く塗り潰される。




「…パパ、は……。」



「…ご案内、します。」




亡き骸は執務室だそうで、私はほとんど呆然としたまま連れられるだけ。



パパは今この国で一番強い人だ。



武将としても、知将としても、歴史に名を残すほどの偉人。





…負ける、わけがない…のに。





「こちらです。」




執務室の扉の向こうには、布に覆われた人が横たわっている。


頭ですぐにわかった。




パパ、なんだよね…?