城は、感じたこともない負のオーラを纏っている気がした。
足がすくむ。
手が震える。
「……。」
中へ入ると血の匂いが充満していて、横たわる動かない多くの人間。
胸が痛い。
必死で戦ってくれたんだね。
広間へ自然と足が向かっていた。
部屋の前で気付いた。
…明かりが、ついてる。
誰か、いる。
「ひっ…姫様っ!!!」
明かりがついている広間へ入ると、非日常的な光景が広がっていた。
負傷しつつも、たくましい屈強な自国の兵たちが集められていた。
しかし…その目に、どこか影がある。
「姫様だ!姫様が戻ってきた!!!」
「姫様よくご無事でっ…!」
たくさん声をかけてくれる兵たち。
ここにも敵軍の姿はない。
「よかっ…た…。無事な人も、いたんだね…。」
思わず心から言葉が溢れた。
「姫様。」
私に声をかけたのは、父の側近。
「…戦況の、報告をいたします。」
わかってるよ。
だって、ここに生き残った者たちの顔に悲しいって書いてある。
「国王陛下が、討死されました…。」

