「ま、負けた…のか…。」
落胆して膝から崩れ落ちる伝者。
「…ごめん、辛いよね。もう少しだけ堪えて。生き残った人がいないか探してくれる?できたらさっき言った通り一箇所に集まってて?」
私は、行かなきゃ。
城へ。
家族が、待ってる。
パパ。
ママ。
アル。
お願いだから無事でいて。
こんなの、私一人ではどうしようもないよ。
本当は怖い。行きたくない。
見たくないものなんて、意地でも見たくない。
だけど、家族を思い浮かべると同時に脳裏によぎる地下室。
「…行かなきゃ。」
もう残党もいない。
軍が通ったせいで荒れた街並みを抜けて、私の知る最短の道をただただ進む。

