(一)この世界ごと愛したい





「楽しみは先に取っておくことにしよう。では姫よ。いずれ月下の光の下で、美しい姿を見るのを楽しみにしているよ。」



後にも先にもありませんよー。


エリクは言いたいことだけ言って、颯爽と部屋から出ていった。




「……。」




…月下の光の下?



私はこの言葉が妙に頭に残る。でも、考えてもあの男の思考など見えてはこない。


それ自体が私を惑わせる罠なのかもしれない。




「リン?」


「…るう、気をつけてね。」


「ああ。」




私は深く考えることをやめた。




「さて、これでゆっくり本が読めるー。」



私は再び本を開く。





するとまたまたコンコンとドアから音がする。





「…もうなんなのー。」



私は項垂れるが、またるうが対応に行ってくれた。




「あ…。」


「レン王子!」