(一)この世界ごと愛したい




主治医が患者をいじめるなー。


と思いつつ、自分で蒔いた種だしなと思って少しは大目に見ることにした。



「ねえ、この前話したイグアート地方の話覚えてる?」


「雨が降らないって言ってた場所だよね。」


「そう。君とそこに行けば、なにか解決策がみつかったりするのかな。」


「私は天候を読み取るだけで、操作したりはできないよ。でも確かにどんな空気なのかは気になるかなー。」




私と話すレンの目が、それはもう少年みたい。


キラキラキラキラしていて眩しい。




「いつか一緒に行こう。」


「行こうって言われても、私にはたぶん外出許可でないと思うよ。」


「あー、そうかー…。」




あからさまに落ち込む。


レンってこんなに子供っぽいキャラだったかな。





「…いつか、行けるといいね。」




私はそっと、レンの頭を撫でた。