事情を聞くと、どうやらここに来る途中にエリクに遭遇したそうで。
いつもの饒舌な口で、文句やら嫌味、妬みをダラダラ喋られたそうだ。
それは確かに同情する。本当にいつもいつも話長いもんね。
レンは散々罵倒され、るうはひたすら私のところへ連れて行けと迫られ。二人は疲弊していた。
「…大丈夫?」
「ああ。最終的には言うだけ言って満足したのか、自分の部屋に戻って行った。」
「るうよく耐えたね。」
「疲れはするけどな。」
剣を抜かずになんとかなっただけ、るうにしては及第点だ。
「レン様も平気?」
「俺はいつものことだから。」
二人とも耐え抜いたものの、それはそれは疲れただろうな。
それにしても私は会わなくて済んでラッキーだ。
エリクは、セザール王の血を色濃く受け継いでいるような人で。
その残虐性、狡猾さは親子揃ってひどいものだ。
その上、エリクには加えて計画を練り上げる緻密さを備えている。
だからこの数日後。時間を掛けて練られたエリクの非情な策に、私はまんまと絡め取られることになる。

