(一)この世界ごと愛したい




呆れたようにるうが溜め息を吐く。



自由に動けるるうには私の気持ちなんて分かりっこないもんねー。




なんて、子供みたいなことを考えていた。






「えっ…るう!?」


「要は足使わなきゃいいんだろ?」



もうここに来て何度目になるかも分からない、お姫様抱っこ。




「ちょっ、どこ行くの!?」


「お前が外に出たいって言ったんだろ。」




部屋から出て、るうは黙々とどこかへ向かって歩いていく。


流石に夜遅いから人には出くわさなかったけど、それでも恥ずかしいことに変わりない。




「…屋上?」


「こないだ兵士がサボるのに絶好の場所だって教えてくれた。」




るうのコミュニケーション能力マジですごい。






「わあ…!」



屋上の扉を開けると、まさに満天の星空が広がっていた。