(一)この世界ごと愛したい





伝者を待たせ、一先ず戦をるうに引き継ぐ。




「もう撤退する頃合いだと思うけど、私の代わりの指揮をお願い。とりあえず撤退が始まったら少数で背中を追って。国境までは追わなくていい。

全部済んだら即帰還して。足並みが揃わなくてもいい。走れる人だけ走って。

その後の報告は…また、時間ができた時に聞くね。」




もうそれは荒々しい引き継ぎで、ごめんと思いながらも足早にるうに伝える。





「…本当なら。」


「るう?」




気持ちは急いでいるんだけど、身体は重い。


るうも同じ気持ちなのか、ただ空を見上げている。




「何がなんでも一緒に行くんだけどな。」


「うん。」


「無茶はするなよ。」


「うん。」


「絶対にすぐ追い掛ける。」


「うん。」






「…間違っても死ぬなよ。」