伝者を待たせ、一先ず戦をるうに引き継ぐ。
「もう撤退する頃合いだと思うけど、私の代わりの指揮をお願い。とりあえず撤退が始まったら少数で背中を追って。国境までは追わなくていい。
全部済んだら即帰還して。足並みが揃わなくてもいい。走れる人だけ走って。
その後の報告は…また、時間ができた時に聞くね。」
もうそれは荒々しい引き継ぎで、ごめんと思いながらも足早にるうに伝える。
「…本当なら。」
「るう?」
気持ちは急いでいるんだけど、身体は重い。
るうも同じ気持ちなのか、ただ空を見上げている。
「何がなんでも一緒に行くんだけどな。」
「うん。」
「無茶はするなよ。」
「うん。」
「絶対にすぐ追い掛ける。」
「うん。」
「…間違っても死ぬなよ。」

