戦場なら光の速さで斬ってますね。
でも、自分で離れろって…言ったな?
まさかできないと思われてる?
「…っ!?」
一気に足の力を抜き、かけられた体重を利用してエリクの体制を崩す。
その瞬間に私を抱きしめる腕が離れたので、一瞬で脱出に成功した。
お陰様で、意味分からんくらい足に負担はかかりましたが。
「ははっ、さすがは我が姫。手強いな。」
「どうもありがとうございます。」
「充分に楽しめた。これで失礼することにしよう。」
…朝からどっと疲れた。
去り行くエリクの背中が見えなくなったのを確認して、私はその場に座り込む。
痛かったー!!!
「リン!」
るうがすぐに駆け寄ってくれる。
しかしそんなるうに私は怒る。
「動かないでって言ったでしょ?」
「…無理そう。」
「無理じゃないから。」
「あと少しでも遅かったら間違いなく斬ってた。」
…こりゃだめだ。
そもそも私が気を付けないと、るうが先に飛び出しちゃうねー。

