(一)この世界ごと愛したい





「パパは、城に戻ってるの?」


「はい、ただ状況は劣勢。私は王妃様の命でここへ参りました。」




純粋な疑問だった。



パパからの伝者だと思ったが、ママが?


未だかつてそんなことはなかった。






「パパは、なんて?」


「陛下は、姫様を絶対に…呼び戻すなと。」




パパのその考えは今は分からない。


そんなパパを、見兼ねたママからの応援要請。




考えたくもないが、余程の劣勢なんだろう。





「姫様。戦の最中なのは百も承知。ですが王都へ帰還願えませんか。」


「…当たり前だよ。」




家族を、民を、そして城の地下室に眠る大事な人を…私は見捨てるなんてできない。



滅ぶなら、共に…。