「パパは、城に戻ってるの?」
「はい、ただ状況は劣勢。私は王妃様の命でここへ参りました。」
純粋な疑問だった。
パパからの伝者だと思ったが、ママが?
未だかつてそんなことはなかった。
「パパは、なんて?」
「陛下は、姫様を絶対に…呼び戻すなと。」
パパのその考えは今は分からない。
そんなパパを、見兼ねたママからの応援要請。
考えたくもないが、余程の劣勢なんだろう。
「姫様。戦の最中なのは百も承知。ですが王都へ帰還願えませんか。」
「…当たり前だよ。」
家族を、民を、そして城の地下室に眠る大事な人を…私は見捨てるなんてできない。
滅ぶなら、共に…。

