(一)この世界ごと愛したい





冷静に。



状況を読め。



最善を考えろ。





「るう、ちょっと任せる。」


「了解。」




私は伝者と共に、前線から退く。


まずは情報を整理したい。被害の規模を把握したい。パパの居場所を知りたい。





正直なところ、既に頭は混乱しているけど。



だからこそ、落ち着かなきゃだめだ。






「襲撃はいつ?」


「およそ五日前です。」


「敵は?」


「セザールです。」




セザールか。



セザールの王は、非道な男だと聞いている。力でねじ伏せる恐怖政治。金の亡者とも聞いた。



アレンデールとは長い歴史の中で、何戦も戦いを重ね、今もその力は拮抗し対立している。




私も数回剣を交えたことはある。






「…謀られた、か。」


「え!?」


「パパも私も不在の状況を、意図して作られた。要はこの戦もセザールの布石にすぎない。」




やはりパパの命に反してでも、私はここに来るべきじゃなかった。



襲撃が始まって、五日も経ってる。




被害は想像もできない。