冷静に。
状況を読め。
最善を考えろ。
「るう、ちょっと任せる。」
「了解。」
私は伝者と共に、前線から退く。
まずは情報を整理したい。被害の規模を把握したい。パパの居場所を知りたい。
正直なところ、既に頭は混乱しているけど。
だからこそ、落ち着かなきゃだめだ。
「襲撃はいつ?」
「およそ五日前です。」
「敵は?」
「セザールです。」
セザールか。
セザールの王は、非道な男だと聞いている。力でねじ伏せる恐怖政治。金の亡者とも聞いた。
アレンデールとは長い歴史の中で、何戦も戦いを重ね、今もその力は拮抗し対立している。
私も数回剣を交えたことはある。
「…謀られた、か。」
「え!?」
「パパも私も不在の状況を、意図して作られた。要はこの戦もセザールの布石にすぎない。」
やはりパパの命に反してでも、私はここに来るべきじゃなかった。
襲撃が始まって、五日も経ってる。
被害は想像もできない。

