嘘みたいな話だが、本当の話で。 必ずその軍を率いるのはハルで。パパが指揮をとって血相変えて追いかけられたのを思い出す。 …今思い出しても恐怖体験だ。 「あ、ごめん。急いで選ぶね!」 「ゆっくりでいいよ。」 私が本を選んでいる姿を、第三王子は静かに紺碧の瞳で見つめていた。 気付けばまた、山のように持ち帰りたい本で溢れてしまい二人で苦笑いを浮かべた。 彼との時間は、特に苦ではない。 寧ろ近すぎず遠すぎない距離感で接してくれるので、私は居心地がいいとさえ錯覚してしまう。